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セーラー服で脱がさないで


エドからのプレゼントはセーラー服とタキシード!?
女装カルロとタキシードマキ。
_____________________



ベッドの端に乗っている箱。
その横には丁寧に剥がされたであろうリボンと包装。
カルロは意外とこういうところが細かい。


「ボクの家のことで迷惑をかけてしまったからねぇ。これはほんのお詫びだよ」


そう言いながら、エドがプレゼントを置いていったのがさっき。
寝室でそれを開封し、カルロが怒りに震えているのが今。


「カルロ、エドからのプレゼントは何だったんだ?」


なぜプレゼントをもらうことになったのか、経緯は全く知らない。
マキは単純な好奇心で尋ねた。
箱を覗き込もうとすると、カルロに阻止される。


「マキ、俺はちょっと電話してくる。絶対に、この箱を開けるな。絶対にだ」


乱暴に蓋を閉じてから、額に青筋を立ててカルロは居間へ出ていった。


残されたマキは首を傾げながら箱を眺めた。
「プレゼント…なんだよな?」
何を怒っていたんだろう。


カルロを怒らせるような品物…
箱の中身について考えてみるが、マキには想像もつかなかった。


居間からカルロの怒鳴り声が聞こえる。
エド相手だろうか。
まだ話している。


ちょっとくらい開けてもいいよな。
バレないように、そっと。
ちょっと見るだけ…


好奇心に負け、マキはドキドキしながら箱の蓋に手をかけた。


「…?なんだこれ。服?」


ちょっと見てすぐ蓋を閉じるつもりだったのだが、箱から出してみないとよくわからない。
気になって箱の中身を両手で掲げた。


「…セーラー服?」


とても質の良さそうな、紺色襟に赤スカーフのセーラー服だ。
それにしても、やけにでかい。
マキのサイズよりも大きいような気がする。


箱の中にはさらに服が畳んであった。
セーラー服をベッドの上に横たえて、次の服も取り出す。


「……タキシード?」


こちらはマキくらいのサイズだろうか。
やはり質の良さそうな、蝶ネクタイ型の真っ黒なタキシード。
…質は良いが、幼児向けのお遊戯会のような衣装だ。


箱の中身はその二点だった。


「カルロはなんであんなに怒ってたんだ?」
二着をベッドに重ねて、マキは大きく首をひねった。


「マキ」


後ろから突然声をかけられて、全身が跳ねた。


しまった、カルロの存在をすっかり忘れていた。
いつの間に寝室に入ってきたのだろう。
電話の声が途切れたのにも気づかなかった。


「俺はさっき、開けるなと、言ったよな?」
カルロが笑顔で詰め寄ってくる。
怖い。


「ご、ごめん。でも、ただのセーラー服じゃん!タキシードじゃん!なんで怒ってんの!?」
マキは抗論した。
そもそも見てはいけないような中身じゃないじゃないか。


「どこの世界にセーラー服をプレゼントされて喜ぶ男がいる!?あいにく俺に女装の趣味はないんでな!」
カルロが青筋を立てながら叫ぶ。
そしてマキはふと気づいた。


「え…これカルロのなのか?」
カルロとセーラー服を交互に見やる。
どこかの風俗店用の商品かと思っていた。


しまったというようにカルロはバツの悪そうな顔をした。
だから見せたくなかったんだ、と。
珍しく言葉を濁らせて視線を逸らすカルロ。
マキは面白くなって、ついついからかってしまう。


「せっかくくれたんだから、着てみればいいじゃん」
ニコニコしながらカルロの肩をたたく。


「誰が着るか!」
心底嫌がっているようだ。
マキはさらに楽しくなってくる。


「贈り物を無駄にするとバチが当たるぞ」
諭すような顔をして言う。
もちろん口元は歪んでいる。


「ほらカルロ」
せっかくの機会を逃すまいとしつこくからかっていると、苦虫を噛み潰したような顔をしていたカルロの表情が、段々輝き始めた。
これは悪だくみをしているときの顔だ。
いつものアレだ。
やりすぎたーーそう思った時には遅かった。


「そうだな。人様の好意は素直に受け取った方がいいなぁ」
にこにこしながらマキに迫ってくる。


なんかヤバい。
マキは顔を引き攣らせながら後退した。
カルロは一体何を思いついたんだろうか。
あの箱にはセーラー服とタキシードしか…


あ。


「じゃあマキ、お前はこのタキシードを着ろ。マキ先生は着てくれるよなぁ。せっかくエドが贈ってくれた服だもんなぁ?」


あのお遊戯会の衣装を着ろと。
…嫌すぎる。


「カルロ、今日はもう遅いし、寝よう。な?」
「マキ。せっかくの贈り物だ。早くエドに報告してやろう。着心地を。人の好意を無駄にしちゃあいけない。そうだろう?」
他人の好意などありがたがることのない男が、執拗に好意を盾に迫ってくる。
さきほどマキが口にした言葉ばかりで、はっきり断ることもできない。


「マキ先生は自分の言葉にも責任を持てない男なのか?そんなことはない。俺の見込んだ男だ。必ず着てくれると信じている。お前は責任感の強…」
「あーーー!もう、わかったよ!着ればいいんだろ、着れば!!」
わざとらしい口調で延々と言葉を続けるカルロに観念し、マキは承諾した。


「アンタもそれ着ろよ!?」
照れ隠しに怒りながら、そう付け加えた。


吹っ切れたのだろう、カルロは飄々としてセーラー服を着こなしていた。
「ふん。俺は何を着ても似合うからな」
なぜかふんぞり返っている。


一方マキ。
普段あまり着ないのと不器用とが相まって、タキシードの着用にもたついていた。
見かねたカルロが手を出す。


「お前はほんっとうに不器用だな。ほら、手をどけろ」
相変わらず変に甲斐甲斐しい男だ、とマキは関心した。


二人はすっかり衣装に着替えた。


カルロはあまりに似合わないセーラー服姿。
膝丈のスカート、半そでのシャツからは、逞しい四肢が伸びている。
よくもまぁこんなサイズのセーラー服を用意できたものだ。
特注品に違いない。


マキはタキシードがとても似合っていた。
お遊戯会をするような年齢ではないのだが、悲しいかな、あまりに似合っていた。


「それにしてもカルロ…!あんた、それ、ひどい…!!」
マキはカルロの姿に腹を抱えて笑った。


あのカルロがこんな服を着るとは、夢にも思わなかった。
見目がいいだけに滑稽さが増す。
ツボに入ったまま、ベッドに倒れこんで笑い続ける。


珍しくカルロは怒りもせず、ニヤニヤしたままベッドに乗り上げてきた。
あ、と思った時にはすっかり組み敷かれていた。


「か、カルロ?」
怒っているのかと見上げるが、いかにも悪だくみをしているような表情だ。


「マキ…」
「、んっ…ふふ」
ちゅっちゅっと首筋に何度もキスが降ってくる。
可笑しいのと気持ちいいのとで、マキは泣き笑いのようになった。
首から下がって、自分の胸元に顔を埋めているカルロ。
見下ろすとセーラー服の襟が目に入り、やはり笑ってしまう。


「はは、ん、くふ…っ」
カルロは楽しそうにマキの体を愛撫していく。
笑いが込み上げてくるからか、いつもより敏感に反応してしまう。


「随分気持ちよさそうだなぁ、マキちゃん」
お遊戯会の衣装を揶揄しているのだろう。


「ばっ、も、」
蝶ネクタイを外され、シャツを捲られ、ベルトを解かれる。


着せてくれた手が、すべて脱がせていく。
そして脱がせている相手は、セーラー服を着ている。
首を胸をやたらしつこく愛撫してくる。
自分はお遊戯会みたいな衣装を着て、…


「マキ、俺の服も脱がせてくれよ」
「あっ」
混乱しているところ、突然耳元で囁かれてびくりと全身が跳ねた。
じろっと睨むと、カルロは挑発するようにマキを見つめた。


「脱がせてくれねぇのか、マキ?」
首を思い切り傾げながら、下から覗き込まれた。


「も、何なんだよ…っ」
執拗に乳首を弄られて身悶える。
脱がせろと言いながら、全く容赦がない。
「マーキ。脱がせてくれよ。マキ」
ふふ、と笑いながらカルロが顔をくっつけて何度も言う。


完全に遊ばれている。
くそ、負けるもんか。


なんとなく悔しくなった。
快楽を逃そうとキツく瞑っていた目を薄らと開けて、必死にセーラー服を掴む。
震える手でスカーフを解こうとする。
が、うまくいかない。


カルロは面白そうにマキの様子を見ている。
そうしている間にもマキは半裸になっており、愛撫は乳首だけにとどまらない。


息も絶え絶えにようやくスカーフを解いた。
襟を外そうとするが、構造がわからない。


「は、んっ…くそ、…っなに、これ」


どうしてもわからない。
すっかり昂ぶってしまった体も苦しいが、一方的なのは悔しい。
マキは半泣きになりながらセーラー服と格闘した。


負けない。


あまりにマキが必死なので、カルロはもっと遊びたくなった。
「5分だけ待ってやるよ」
酷く優しい声でそう告げる。


愛撫する手を止めて、マキの腰を掴んで体勢を反転した。
カルロは仰向けになり、マキを自分の腰に跨らせた。


「ほらマキ。俺は何もしない。セーラー服を脱がせてみろ」
ニヤニヤしながら宣言する。
もはや何の戦いなのかわからないが、マキは鼻息を荒くして頷いた。
「よし、勝負だ!!」


エシカがこの場にいたならば、きっと的確にツッコんでくれたであろう。



「く、くそぉ…っ」
カルロが手を休めている分、焦らされて体はどんどん熱くなる。
余計に手がもたつく。
力が入らない。


「は、…もぉ…っ」
襟は諦めた。


マキは強引にシャツの裾を捲り上げ、鍛えられた腹筋や胸筋に手を這わせた。


脱がせるのとは違うが、やっと素肌にたどり着いた。
達成感に浸りながら、さぁ触るぞ、と意気込んだとき。


「時間切れだ、マキ」
ニヤニヤ見ていたカルロがおもむろに上半身を起こす。
傾ぐ体の腰を掴まれた。
「あっ…」
ぞくんと下半身が疼く。


マキを抱えたまま、カルロは少し後ろに下がる。
ベッドサイドに背中を預けたカルロの腰を跨ぐ形になった。
余談だが、横たわったままの騎乗位にはまだ思うところがあるらしい。


逞しい胸にマキの顔が埋まる。
カルロの匂いがする。
マキの大好きな匂い。


「さぁマキ先生。俺をもっと気持ちよくさせてくれ」
カルロの熱い屹立が双丘に触れている。
マキのものも熱く震えていた。


「せ、先生って、言うな…」
真っ赤になりながら、胸に顔を押し付ける。
子供たちにはいつも言われているが、カルロに言われるとなんだか照れ臭い。


「どうして、マキ先生?」
肩口に顔を埋めたかと思うと、首筋で囁いた。
「もっと気持ちよくさせて…」
半分露出したマキの尻を揉みしだく。
「カル、ロ…!」
羞恥と期待でセーラー服の襟をぎゅっと握りしめるマキ。
「先生…」
何度も何度も囁かれる。
「も、ばか…!!」


こうして二人の夜は更けていった。


「たまには趣向を変えても楽しいだろう?」
エドがいつものように笑いながら言った。


「撃ち殺してやりたいところだったが、マキの頑張りに免じて今回は許してやる」
上機嫌のカルロは、エドのグラスに酒を注いでやるほどのパフォーマンスを見せた。


「…おかしいなぁ。怒りに震える顔を想像していたのに」
そんなカルロの様子を見て、エドは可笑しそうに笑った。



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