人魚の王子と人間の華族
またパロかよ!と自分でも思います。
パロ大好きなんです。
原作の細かい設定を調べ直す必要がない
っていうのが楽なのはもちろん、
この世界観だったら彼らはどんな接近方法になるだろう
とか思ったらワクワク萌え萌えするんですよね。
ウフフ
乙女チック開王子ですのでご注意ください。
<配役>
人魚の王子;館林開
王子の側近たち(もちろん人魚);館林隊
人間の華族;千家伊織
人間の部下;平岡
________________
人魚の王子は、人間の華族に一目惚れした。
人魚達のとある国。
王子の名前は館林開といった。
見目麗しく誠実な彼は、民衆からも部下からも慕われていた。
開王子は一人で海中を散歩をするのが好きだった。
ある日、開王子は波間に顔を出した。
しん、と不気味なほどに静かな風。
荒ぶり始めた波。
嵐が来るに違いない海。
そんな中、海上に船の気配を感じたのだ。
嵐が来る前に、どこかへ上陸することはできないだろう。
必然的にこの船は難破する可能性が高い。
「大きな船だな…」
開王子は心配そうに呟いた。
船上を見上げると、人間達が慌しく動き回っていた。
大きいだけでなく、豪奢な船だった。
きっと貴族や華族といった人種が乗っているのだろう。
ならばなおさら、たくさんの人間が犠牲になるに違いない。
王子は何度も難破船を助けてきたが、貴族や華族といったいわゆる上級の人種は、下辺の人間を軽んじる傾向があったのだ。
開王子は、懐から笛を取り出して思い切り吹いた。
この笛から発せられる超音波で、部下を招集することができる。
するとすぐに部下が集まり始めた。
緊急ではあるが、今この時間なら50人は集まるはずだ。
などと考えていると、側近の部下である薫、馨、時任、雄真の全員が揃っていた。
非番の者もいたはずなので、まさか全て集まるとは思わず、開王子は苦笑した。
休んでいるところ、悪いことをしてしまった。
「船の救助ですね。あるだけの道具は用意してきました」
「あの大きさからすると100人は超えていますね。全員を救助できるかどうか…とにかくやってみましょう。この場所ならば、第1番島に運ぶのが最善かと思われます」
「もぉ~また人助けですかぁ!?優しいんだから、館林様ってば!」
「こら薫!不敬だぞ!」
それぞれの反応をする側近達を見て、開王子は苦笑した。
「すまんな。今日も頼む」
部下を配置し、開王子も船をよく見通せる場所で待機する。
そうこうしているうちに、嵐が近づいてきた。
波は大きく、風は強くなってくる。
船が大きく揺らぎ始めた。
その拍子に、船上が垣間見える。
と、開王子の心臓はどきりと震えた。
美しいとしか言いようのない長髪の男が波を睨んでいたのだ。
一瞬目が合ってしまい、思わず海に隠れた。
そっと波間から顔を出すと、もう男の姿は見えなかった。
高鳴る鼓動を押し殺しながら、大きく傾いた船に向かって開王子は指を差した。
「皆、救助を開始せよ!」
王子の号令と共に、人魚達が一斉に泳ぎ始めた。
***
自分の意思と関係なく送り込まれる空気。
「う…げほ!ごふ」
咳き込みながら千家は睫毛を震わせた。
傍に誰か座っている。
逆光が眩しくて顔が見えない。
ならばと、動こうとする身体は重かった。
「水を飲んでいたのだ。まだ動かない方がいい」
もうすぐ助けが来るだろう、そう言って影は千家から離れ、海に消えた。
靄のかかった意識では深く考えることもできず、ただ声だけが耳に残った。
随分と優しく心地よい声だ。
一体誰だったか。
こんな声の部下はいただろうか。
気にはなったが、その姿を追うほどの体力はなく、千家の意識は再び沈んだ。
千家から少し離れた岩場に顔を出した開王子は、そっと元いた場所を振り返った。
脱力している様子を見ると、再び気を失ったらしい。
千家は、船が沈む最後まで部下に命令を出していた。
脱出用の小船を何隻も送り出し、自分はまだ船に残って。
その理性的な様に、開王子の心は震えた。
なんという男なのだろう。
美しい容貌にまず驚いたが、それ以上になんと精錬潔癖な精神を持つ男なのだろうか。
長い睫毛が白い頬に影を落としている。
まるで真珠のようだと見蕩れた。
人魚達に助けられた人間達が目覚めるまで、開王子は千家を見つめ続けた。
***
人魚の、館林一族が治める国。
「な、何を仰っているんですか!?」
仰天した馨の声が城内に響く。
声を出していないだけで、側近達はみな一様に目を丸くしている。
腕組みをしたまま、開王子は目を閉じていた。
反対されることは分かっているといった風に。
緊張した空気が彼らを支配した。
そんな中、時任が口火を切った。
「理由をお聞かせ願えますか」
雄真も馨も深く頷いている。
薫に至っては真っ青になって、兄の馨にもたれかかっている。
皆の顔を見回した後、開王子は口を開いた。
「……私はな、先日助けた人間の将に感銘を受けたのだ」
少し気まずそうに、そう語り始めた。
「自分の命を失うかもしれないという時に、あの判断力。気力。
素晴らしいと思わんか。我々だけでは救助できなかった数だ。
あの男が滑らかに部下を脱出させたおかげで、ほぼ全員が生きて帰って行った」
「毅然とした態度。部下への配慮。まさしく上に立つものの鑑ではないか」
「私はあの男のことを、考え方や行動を、もっと知りたいのだ」
「現在王は健在で、姉も館林一族の者と既に結婚し、立派な男児がいる」
「次期王座は甥に譲りたいと思う」
開王子が口を閉じた後、部屋はしんと静まった。
王子はとても穏やかで優しいが、一度こうと決めると真っ直ぐ貫く。
そういう愚直な人間だ。
ここにいる側近達は、開のことを良く分かっていた。
だからこそ、もう止められないと悟ったのだ。
開王子が、人間の足を得て、人間の世界へ行くことを。
***
「なんだ貴様は!」
千家の部下-平岡の怒号が飛ぶ。
千家をかばうようにして立つ平岡の前には、開王子が…館林開が倒れ込んでいた。
「どかぬか!」
開は困った。
立とうにも歩き方が分からないのだ。
深海に住むミサキに足を作ってもらったのはいいものの、やはり元からの器官ではないため、動かし方が難しい。
付録として一般的な人間の服も貰ったので、一見すると普通の成人男子だ。
倒れこむその姿は、余計に怪しさを増している。
「あ、あの、すまぬ。足が悪くて…どうにも、うまく立てぬのだ」
千家一行がこの海近辺にいる間に接触したいと急かしたため、動作講座を受けていない。
陸に這い上がり、探しに行こうとした瞬間に千家を見つけた。
思わず立ち上がり、よろよろとそちらへ向かった。
結局は、千家を通せんぼする形で倒れこみ、こうして平岡に怒鳴られているのだった。
「貴様、…」
「よい。止めろ」
千家は、激昂しかけた平岡を手で制した。
「足が悪いというのは本当のようだ。目的地まで連れて行ってやれ」
別の部下にそう言い置き、開をチラリと流し見た。
「道の真ん中で倒れこまぬようお気をつけください。相手によれば蹴り飛ばされますからね」
別の軍人ならば、と言っているのだろう。
視線と台詞を投げかけられ、開は、ぞくぞくと背中を這い上がるものを感じた。
そして通り過ぎようとする千家の手を取った。
「あ、あの!私はそなたに用があって来たのだ!」
立ち上がれはしないものの、慌てて佇まいを直した。
膝を付き、まさしく王子のように、千家の手を恭しく持ち上げる。
その手を引き寄せて、甲にキスをして言った。
「私の主になってくれぬか」
パロ大好きなんです。
原作の細かい設定を調べ直す必要がない
っていうのが楽なのはもちろん、
この世界観だったら彼らはどんな接近方法になるだろう
とか思ったらワクワク萌え萌えするんですよね。
ウフフ
乙女チック開王子ですのでご注意ください。
<配役>
人魚の王子;館林開
王子の側近たち(もちろん人魚);館林隊
人間の華族;千家伊織
人間の部下;平岡
________________
人魚の王子は、人間の華族に一目惚れした。
人魚達のとある国。
王子の名前は館林開といった。
見目麗しく誠実な彼は、民衆からも部下からも慕われていた。
開王子は一人で海中を散歩をするのが好きだった。
ある日、開王子は波間に顔を出した。
しん、と不気味なほどに静かな風。
荒ぶり始めた波。
嵐が来るに違いない海。
そんな中、海上に船の気配を感じたのだ。
嵐が来る前に、どこかへ上陸することはできないだろう。
必然的にこの船は難破する可能性が高い。
「大きな船だな…」
開王子は心配そうに呟いた。
船上を見上げると、人間達が慌しく動き回っていた。
大きいだけでなく、豪奢な船だった。
きっと貴族や華族といった人種が乗っているのだろう。
ならばなおさら、たくさんの人間が犠牲になるに違いない。
王子は何度も難破船を助けてきたが、貴族や華族といったいわゆる上級の人種は、下辺の人間を軽んじる傾向があったのだ。
開王子は、懐から笛を取り出して思い切り吹いた。
この笛から発せられる超音波で、部下を招集することができる。
するとすぐに部下が集まり始めた。
緊急ではあるが、今この時間なら50人は集まるはずだ。
などと考えていると、側近の部下である薫、馨、時任、雄真の全員が揃っていた。
非番の者もいたはずなので、まさか全て集まるとは思わず、開王子は苦笑した。
休んでいるところ、悪いことをしてしまった。
「船の救助ですね。あるだけの道具は用意してきました」
「あの大きさからすると100人は超えていますね。全員を救助できるかどうか…とにかくやってみましょう。この場所ならば、第1番島に運ぶのが最善かと思われます」
「もぉ~また人助けですかぁ!?優しいんだから、館林様ってば!」
「こら薫!不敬だぞ!」
それぞれの反応をする側近達を見て、開王子は苦笑した。
「すまんな。今日も頼む」
部下を配置し、開王子も船をよく見通せる場所で待機する。
そうこうしているうちに、嵐が近づいてきた。
波は大きく、風は強くなってくる。
船が大きく揺らぎ始めた。
その拍子に、船上が垣間見える。
と、開王子の心臓はどきりと震えた。
美しいとしか言いようのない長髪の男が波を睨んでいたのだ。
一瞬目が合ってしまい、思わず海に隠れた。
そっと波間から顔を出すと、もう男の姿は見えなかった。
高鳴る鼓動を押し殺しながら、大きく傾いた船に向かって開王子は指を差した。
「皆、救助を開始せよ!」
王子の号令と共に、人魚達が一斉に泳ぎ始めた。
***
自分の意思と関係なく送り込まれる空気。
「う…げほ!ごふ」
咳き込みながら千家は睫毛を震わせた。
傍に誰か座っている。
逆光が眩しくて顔が見えない。
ならばと、動こうとする身体は重かった。
「水を飲んでいたのだ。まだ動かない方がいい」
もうすぐ助けが来るだろう、そう言って影は千家から離れ、海に消えた。
靄のかかった意識では深く考えることもできず、ただ声だけが耳に残った。
随分と優しく心地よい声だ。
一体誰だったか。
こんな声の部下はいただろうか。
気にはなったが、その姿を追うほどの体力はなく、千家の意識は再び沈んだ。
千家から少し離れた岩場に顔を出した開王子は、そっと元いた場所を振り返った。
脱力している様子を見ると、再び気を失ったらしい。
千家は、船が沈む最後まで部下に命令を出していた。
脱出用の小船を何隻も送り出し、自分はまだ船に残って。
その理性的な様に、開王子の心は震えた。
なんという男なのだろう。
美しい容貌にまず驚いたが、それ以上になんと精錬潔癖な精神を持つ男なのだろうか。
長い睫毛が白い頬に影を落としている。
まるで真珠のようだと見蕩れた。
人魚達に助けられた人間達が目覚めるまで、開王子は千家を見つめ続けた。
***
人魚の、館林一族が治める国。
「な、何を仰っているんですか!?」
仰天した馨の声が城内に響く。
声を出していないだけで、側近達はみな一様に目を丸くしている。
腕組みをしたまま、開王子は目を閉じていた。
反対されることは分かっているといった風に。
緊張した空気が彼らを支配した。
そんな中、時任が口火を切った。
「理由をお聞かせ願えますか」
雄真も馨も深く頷いている。
薫に至っては真っ青になって、兄の馨にもたれかかっている。
皆の顔を見回した後、開王子は口を開いた。
「……私はな、先日助けた人間の将に感銘を受けたのだ」
少し気まずそうに、そう語り始めた。
「自分の命を失うかもしれないという時に、あの判断力。気力。
素晴らしいと思わんか。我々だけでは救助できなかった数だ。
あの男が滑らかに部下を脱出させたおかげで、ほぼ全員が生きて帰って行った」
「毅然とした態度。部下への配慮。まさしく上に立つものの鑑ではないか」
「私はあの男のことを、考え方や行動を、もっと知りたいのだ」
「現在王は健在で、姉も館林一族の者と既に結婚し、立派な男児がいる」
「次期王座は甥に譲りたいと思う」
開王子が口を閉じた後、部屋はしんと静まった。
王子はとても穏やかで優しいが、一度こうと決めると真っ直ぐ貫く。
そういう愚直な人間だ。
ここにいる側近達は、開のことを良く分かっていた。
だからこそ、もう止められないと悟ったのだ。
開王子が、人間の足を得て、人間の世界へ行くことを。
***
「なんだ貴様は!」
千家の部下-平岡の怒号が飛ぶ。
千家をかばうようにして立つ平岡の前には、開王子が…館林開が倒れ込んでいた。
「どかぬか!」
開は困った。
立とうにも歩き方が分からないのだ。
深海に住むミサキに足を作ってもらったのはいいものの、やはり元からの器官ではないため、動かし方が難しい。
付録として一般的な人間の服も貰ったので、一見すると普通の成人男子だ。
倒れこむその姿は、余計に怪しさを増している。
「あ、あの、すまぬ。足が悪くて…どうにも、うまく立てぬのだ」
千家一行がこの海近辺にいる間に接触したいと急かしたため、動作講座を受けていない。
陸に這い上がり、探しに行こうとした瞬間に千家を見つけた。
思わず立ち上がり、よろよろとそちらへ向かった。
結局は、千家を通せんぼする形で倒れこみ、こうして平岡に怒鳴られているのだった。
「貴様、…」
「よい。止めろ」
千家は、激昂しかけた平岡を手で制した。
「足が悪いというのは本当のようだ。目的地まで連れて行ってやれ」
別の部下にそう言い置き、開をチラリと流し見た。
「道の真ん中で倒れこまぬようお気をつけください。相手によれば蹴り飛ばされますからね」
別の軍人ならば、と言っているのだろう。
視線と台詞を投げかけられ、開は、ぞくぞくと背中を這い上がるものを感じた。
そして通り過ぎようとする千家の手を取った。
「あ、あの!私はそなたに用があって来たのだ!」
立ち上がれはしないものの、慌てて佇まいを直した。
膝を付き、まさしく王子のように、千家の手を恭しく持ち上げる。
その手を引き寄せて、甲にキスをして言った。
「私の主になってくれぬか」
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