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館林と『体調不良』の千家

エロなし。
呪詛体から解放された後の館千、友情エンド(妄想)。
(あ、このブログには妄想しかなかった)
_________________


「貴様、具合が悪いのか?」


会議を終えた後、館林は、廊下を歩く千家の背中に話しかけた。


会議中からずっと気になっていた。
呪詛からは解放されたはずなのに、千家の顔色が悪い。
だが、額に冷や汗を浮かべても、涼しい顔をしていた。
以前なら「呪詛のせいだろう」と流したものだが、今は…。

「…具合?特段悪くもないが…」
そう言いながらも、眼は虚ろで、青白いくせに頬だけが上気している。

「失礼」
館林は、千家の前髪を分けて掌を額に当てた。
思ったとおり、熱い。

「何を…」
館林の手を振り払う千家の手は、弱弱しい。

「貴様、かなり熱があるぞ」
手を引っ込めながら、館林はため息をついた。

「……熱?」
千家は、心底不思議そうに首を傾げた。

「随分と熱いぞ。よく平気な顔で歩いていられたな」
館林は、呆れたように千家を見た。

「……そうか、これが『風邪』か…」
そう呟く千家は、少し嬉しそうに見える。

「風邪を引いて喜ぶやつがあるか。早く帰るぞ」
周囲に人気がなくなったのを見計らい、館林は無理やり肩を貸した。
身長にそれほど大差がないので、自然な体勢でいられる。

「ほう。送ってくれるのか」
嫌がる素振りもなく、素直に体重を掛けてくる千家。

まさか千家とこれほど懇ろになるなど、対立していた頃の自分には想像もつかなかっただろう。
さらに昔、幼かった頃の自分も、千家とあれほど激しく対立することになろうとは夢にも思わなかった。


「ほら見ろ。身体が辛いんだろうが」
館林に寄りかかって歩く千家は、熱く早い呼吸をしている。

「ふん」
館林に指摘され、拗ねたように唇を尖らせた。

「大体、貴様は生活力がなさすぎる。俺よりも酷いぞ。その上、自分の体調に気づかぬなど…」
珍しく千家を言い負かすことができて、気を良くした館林は、つらつらと説教を始めた。

途中、千家が言った。
「それが普通だったからな」

館林は、ハッとして思わず立ち止まった。
つられて千家も止まる。怪訝そうに、俯いてしまった館林を見た。
「どうした?」

「……すまん。」
館林は、下を向いたまま声を搾り出した。

「何が」
全く思い当たることがない、という顔をして、千家が問うた。

「………帰るぞ!」
思い切り千家の肩を抱きしめて、再び歩き出した。
辛い千家の速度に合わせて、ゆっくりと。
「何なんだ一体…」


-知った気でいた『呪詛体』という言葉。

館林には、本当に知識だけしかなかったようだ。
日常的な体調不良、その意味をわかっていなかったのかもしれない。
風邪など気づく暇もないほどに、苦しかったのだ。


込み上げてくるものを我慢しながら、館林は千家に言い放った。
「今日は俺の屋敷に来い」
その耳と鼻は、赤味を帯びている。

千家は、微かに笑いながら言い返した。
「貴様の口説き文句か?」
「五月蝿い。」
今度は頬も赤くして、館林はそっぽを向いた。


玄関の扉は開かれており、待たせていた車はすぐそこだった。


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