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モモタロウ館林xオニ千家1

モモタロウ館林様がオニ千家を懲らしめる話を書きたかったのです。
なんちゃってモモタロウ。



_______________


鬼ヶ島。

二人の男が刀を交えた。
やがて一人は刀を弾かれて尻餅を付き、一人はその男に刀を突きつけた。

「勝負あった、な」

「………殺せ」
首に刀を突きつけられた千家は、不敵に笑んで言い放った。

「千家…」
苦しそうに呟く館林。

刀を突きつける彼を、千家は嘲笑的な目で見やる。
さらに笑みを深めて言った。
「私を殺せば良かろう」

館林は唇を震わせながら声を絞り出した。
「な、ぜ……」



ーーーー館林もかつては鬼であった。

ふたりは、山奥の鬼の集落でひっそりと暮らしていた。その集落には決して近づいてはならぬ御神木があった。いつものように戦術争いをしていた千家と館林は、知らず御神木に近づいてしまっていた。木を見上げると、そこには美しくきらめく桃が一つ実っていた。

館林は神の息吹のかかった桃に魅せられてしまった。それから館林は千家と遊ぶのもそこそこに、何度も何度も御神木へと通った。その桃は神託のような言葉を館林に投げかけ続け、やがて彼は鬼であることを止める決意をした。桃と一体化して赤子に戻り、人里へその実を落とし、人間として生まれ変わった。

千家は、もともと人間の死霊を操って自らの家令とする術式を得意としていた。その能力は鬼の中でも異端で、忌み嫌われていた。

館林が消えてから、一体、二体と、どんどん家令を増やした千家。やがて術式家令は集落から溢れ、人里を襲ってしまった。そのせいで人間たちに集落の存在を知られ、恐れをなした時の王に襲撃された。たくさんの鬼が殺され、生き残った鬼たちも散り散りになった。


千家は術式家令を引き連れて、鬼ヶ島という孤島へ移った。
鬼も人間もいない、千家だけの城。


館林が千家の元を去ってから三十年弱が経った。

とある漁師が遭難した。
打ち上げられた島で見たもの。

無数の死霊、それを操る鬼。
漁師は恐れおののいて逃げ帰った。
そこら中の人に触れ回った。

『あの時の鬼が生きていた』


それは王の耳にも入り、討伐隊が組まれることになった。
そこで自ら名を挙げたのが、館林開であった___





千家に刀を突きつけながら、館林は悲痛な叫びをあげた。

「あれほど異能を使うなと言ったのに、なぜ…!」

「……」

「貴様に敵意がなくとも、その力は人間にとって大きな脅威だ…」

「……」

「人間と混じりたくない鬼にとっても、その異能は邪道だろう!」

「……」

「なぜそれがわからんのだ!」

「……なぜ?貴様こそ我々を裏切った癖に何を綺麗事を。かつての集落を見ろ。種の発展のために貴様と私が身につけた知恵も知識も、古狸どもは受け付けぬ。いつか人間に滅ぼされる日が来ると、いくら訴えても誰も耳を貸さぬ。ならば私だけでも生き残る!貴様と共に磨いていた戦術、戦闘力。二人合わされば最強だと思っていた。それこそが私の考えていた最高の自衛術だった。だが貴様は寝返った。だから私は貴様の穴を埋めるために異能を磨いた。それの何が悪い!?」

二人はしばし睨み合った。

厳しい表情をしていた館林が、ふっと自嘲気味に笑った。
「……あの桃を覚えているか。鬼にとっての罪の果実……それがなぜか知っていたか、千家?」

睨み上げたままの千家が応える。
「……さぁな」

館林は、刀をそのままに、千家の腰に馬乗りになった。
用意していた鉄の鎖を取り出して、千家の両手を頭上で縛り上げる。
「くっ…」
鎖が擦れて皮膚を傷つけるも、館林は気にせずに千家の口に猿轡を噛ませた。
作業しながら淡々と話を続ける。
「あの桃は私に、人間の持つ邪な欲望をもたらした」

拘束し終えて立ち上がった館林は、千家を見下ろした。

「ああ、もう鬼ではいられない。この集落には…貴様の傍にはいられない。そう思ったのだ」

両手足を鎖で拘束され、動けない千家。

「なぜだかわかるか?」

死の覚悟は出来ている。
だが冷や汗が頬を伝う。

「私は貴様を、滅茶苦茶に壊したい」

逆光で館林の顔は見えないが、口元が歪んでいるのだけははっきりとわかった。

「千家。貴様を殺したい」



モモタロウ館林xオニ千家2へ




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