近未来パロ*科学者館林xアンドロイド千家①
近未来。
何もかもフィクション。
言語は不明。
_________
科学界でタブーとされている研究がある。
一つは新たに人間を創り出すこと。
一つは人工知能における学習能力のストッパーを外すこと。
なぜタブーなのか。
ー倫理的観点。
ー人間を頂点とする生物ピラミッドを守るため。
だが、全科学者の好奇心に歯止めはかけられない。
そして、人間の欲望は無限大で、それは時に自らの破滅を導くこともある…_
そんなこんなで、西暦2xxx年。
人の寄り付かなくなった廃墟、砂漠の地下に広がるとある研究所。
ここには二つの研究機関が入っていた。
秘密裏に人間を、また別の研究機関がストッパーを外した人工知能を、長い間相互に研究開発し続け、とうとう研究は完成間近となった。
互いの成果を完全なものにするため、彼らは密接に協力し合った。
つまり、創り上げた人間の人工脳に、人工知能のデータを組み込んだのだ。
この最終過程もかなりの試行錯誤を経た。
最終実験が始まってから数年。
とうとう悪魔の実験が成功した。
完全なる人工知能が組み込まれた『人間』を、彼らは創りあげてしまった。
「館林博士、とうとうやりましたね」
「ああ。…もう後戻りはできない。我々にとっての悪魔となるか、神となるか」
二人の壮年男性が見下ろすベッドには、生まれて数ヶ月と同程度に育った赤ん坊。
産声を上げることもなく、鮮血のような瞳で周囲を見つめている。
いや、観察しているのだ。
人工知能はすでに学習を始めていた。
「倫理観を植え付けることができれば…きっと人類にとって彼は敵とならないだろう」
館林博士と呼ばれた人物は、慈愛に満ちた視線で赤ん坊を見つめた。
彼は、研究機関の中でも人格者の部類だった。
ー自らの研究が人類の糧となるはずだ。
そう真剣に信じて、研究に取り組んできた。
さらに、彼には一年に満たない年の開という乳幼児がいる。
可愛い息子の将来のためにも、この人工知能を人類にとって有益なものにしたい。
決してエゴイスティックな好奇心だけからタブーを破っているわけではなかった。
「博士、10131号の今日の栄養摂取ですが…」
被検体のカルテを持った研究員が報告を始める。
博士は悪戯を覚えた子供のように笑みを深くした。
「実はね、この子の名前を考えたんだ。」
「はい…?」
「10131って書くとさ、ほら、IORIって見えない?ちょっと無理はあるけどね。でも伊織って名前、どうだろう」
「はー、なるほど。確かに読めなくもないですね。いいと思います、伊織。」
研究員は失笑しながら賛同した。
世界にバレれば破棄しなければならないというのに、名前を考えるとは。
実のところ、この『伊織』は存在が秘匿されている。
全世界から糾弾されかねない実験内容なのだから当然だ。
実験成功から数ヶ月後。
研究員の一人が、蒼白な顔で娯楽室に飛び込んできた。
「は、博士!!大変です!!!!」
どんなに科学技術が発展しても、人間の口には蓋をできない。
人工知能と『人間』の開発。
それぞれ別の分野で発展しているうちはまだいいが、それぞれが完成体を創り上げ、さらに一つに合わさったとなると世界が黙っていない。
人間は自分にとって得体の知れない物ほど恐れる。
それは過去も未来も同じなわけで。
『やはり悪魔の実験だった!』
『マッドサイエンティスト集団』
全世界のどの雑誌、新聞を見ても、館林らの研究機関の話題でもちきりだった。
研究機関の単なる噂は昔からずっとあった。
行政機関も研究所の存在は知っていただろう。
だが研究が成功するのを見守っていた。
そして。
高まった世論という大義に後押しされた行政機関は、強制的に研究所の捜索を始めた。
まるでつい最近、研究所の存在を知ったといわんばかり。
そして、研究機関は解散させられた。
捜索を受け始めてから数日。
研究所の所長、筆頭研究員として、館林は連合軍に軟禁されていた。
とはいえ待遇は悪くない。
簡易住居の住み心地は、地下の研究所よりもよっぽど快適だ。
「糾弾されて当然といえば当然か…」
簡易住居の前で、伊織を抱き抱えながら博士は考える。
『伊織』が完成するまでに『廃棄』されてきた被検体たち。
細胞全てが人工物とはいえ、内蔵から脳に至るまで人間と同じ構造を持つ有機体。
それはもはや『人間』と言えるもの。
不完全な『人間』を大量に作り、大量に『廃棄』してきた。
「確かにこれは悪魔の所業なのかもしれんな…。伊織、お前の兄弟を、私たちはたくさん殺してしまったよ。そうだなぁ…」
だが、と思う。
科学の発展に犠牲はつきものだ。
科学者だからこそ言いたい。
彼らの犠牲は無駄ではなかった。
こうして完成体の伊織がここにいるのだから。
「…世間はそうもいかない。我々は稀代のマッドサイエンティストと言われるだろう」
そう呟いて、泣きも喚きもしない、じっと博士の顔を見上げる赤ん坊を見つめた。
とても可愛らしい顔つき。
目が赤いのは、劣勢遺伝子を打ち消すことができないまま脳と身体が完成してしまったためだ。
きっと視力の低下は早いだろうな、と今ではどうでも良いことを考える。
「伊織。私はどうしたらいいだろう…」
地下の研究機関から上がる煙が、遠くに見えた。
彼らの研究自体は、国家の発展にとって重要なものとなる。
連合軍は、世間へのパフォーマンスのために、派手に研究所を破壊した。
だが、研究員たちは、どこかで丁重にもてなされていることだろう。
有能な技術者集団なのだ。
「私はどうしたら…」
『伊織』を抱きしめて立ち尽くす博士。
そんな彼に、連合軍のトップらしき屈強な男が近づいてきた。
「館林さん。その完成体、我々に預けていただけませんか」
②へ
何もかもフィクション。
言語は不明。
_________
科学界でタブーとされている研究がある。
一つは新たに人間を創り出すこと。
一つは人工知能における学習能力のストッパーを外すこと。
なぜタブーなのか。
ー倫理的観点。
ー人間を頂点とする生物ピラミッドを守るため。
だが、全科学者の好奇心に歯止めはかけられない。
そして、人間の欲望は無限大で、それは時に自らの破滅を導くこともある…_
そんなこんなで、西暦2xxx年。
人の寄り付かなくなった廃墟、砂漠の地下に広がるとある研究所。
ここには二つの研究機関が入っていた。
秘密裏に人間を、また別の研究機関がストッパーを外した人工知能を、長い間相互に研究開発し続け、とうとう研究は完成間近となった。
互いの成果を完全なものにするため、彼らは密接に協力し合った。
つまり、創り上げた人間の人工脳に、人工知能のデータを組み込んだのだ。
この最終過程もかなりの試行錯誤を経た。
最終実験が始まってから数年。
とうとう悪魔の実験が成功した。
完全なる人工知能が組み込まれた『人間』を、彼らは創りあげてしまった。
「館林博士、とうとうやりましたね」
「ああ。…もう後戻りはできない。我々にとっての悪魔となるか、神となるか」
二人の壮年男性が見下ろすベッドには、生まれて数ヶ月と同程度に育った赤ん坊。
産声を上げることもなく、鮮血のような瞳で周囲を見つめている。
いや、観察しているのだ。
人工知能はすでに学習を始めていた。
「倫理観を植え付けることができれば…きっと人類にとって彼は敵とならないだろう」
館林博士と呼ばれた人物は、慈愛に満ちた視線で赤ん坊を見つめた。
彼は、研究機関の中でも人格者の部類だった。
ー自らの研究が人類の糧となるはずだ。
そう真剣に信じて、研究に取り組んできた。
さらに、彼には一年に満たない年の開という乳幼児がいる。
可愛い息子の将来のためにも、この人工知能を人類にとって有益なものにしたい。
決してエゴイスティックな好奇心だけからタブーを破っているわけではなかった。
「博士、10131号の今日の栄養摂取ですが…」
被検体のカルテを持った研究員が報告を始める。
博士は悪戯を覚えた子供のように笑みを深くした。
「実はね、この子の名前を考えたんだ。」
「はい…?」
「10131って書くとさ、ほら、IORIって見えない?ちょっと無理はあるけどね。でも伊織って名前、どうだろう」
「はー、なるほど。確かに読めなくもないですね。いいと思います、伊織。」
研究員は失笑しながら賛同した。
世界にバレれば破棄しなければならないというのに、名前を考えるとは。
実のところ、この『伊織』は存在が秘匿されている。
全世界から糾弾されかねない実験内容なのだから当然だ。
実験成功から数ヶ月後。
研究員の一人が、蒼白な顔で娯楽室に飛び込んできた。
「は、博士!!大変です!!!!」
どんなに科学技術が発展しても、人間の口には蓋をできない。
人工知能と『人間』の開発。
それぞれ別の分野で発展しているうちはまだいいが、それぞれが完成体を創り上げ、さらに一つに合わさったとなると世界が黙っていない。
人間は自分にとって得体の知れない物ほど恐れる。
それは過去も未来も同じなわけで。
『やはり悪魔の実験だった!』
『マッドサイエンティスト集団』
全世界のどの雑誌、新聞を見ても、館林らの研究機関の話題でもちきりだった。
研究機関の単なる噂は昔からずっとあった。
行政機関も研究所の存在は知っていただろう。
だが研究が成功するのを見守っていた。
そして。
高まった世論という大義に後押しされた行政機関は、強制的に研究所の捜索を始めた。
まるでつい最近、研究所の存在を知ったといわんばかり。
そして、研究機関は解散させられた。
捜索を受け始めてから数日。
研究所の所長、筆頭研究員として、館林は連合軍に軟禁されていた。
とはいえ待遇は悪くない。
簡易住居の住み心地は、地下の研究所よりもよっぽど快適だ。
「糾弾されて当然といえば当然か…」
簡易住居の前で、伊織を抱き抱えながら博士は考える。
『伊織』が完成するまでに『廃棄』されてきた被検体たち。
細胞全てが人工物とはいえ、内蔵から脳に至るまで人間と同じ構造を持つ有機体。
それはもはや『人間』と言えるもの。
不完全な『人間』を大量に作り、大量に『廃棄』してきた。
「確かにこれは悪魔の所業なのかもしれんな…。伊織、お前の兄弟を、私たちはたくさん殺してしまったよ。そうだなぁ…」
だが、と思う。
科学の発展に犠牲はつきものだ。
科学者だからこそ言いたい。
彼らの犠牲は無駄ではなかった。
こうして完成体の伊織がここにいるのだから。
「…世間はそうもいかない。我々は稀代のマッドサイエンティストと言われるだろう」
そう呟いて、泣きも喚きもしない、じっと博士の顔を見上げる赤ん坊を見つめた。
とても可愛らしい顔つき。
目が赤いのは、劣勢遺伝子を打ち消すことができないまま脳と身体が完成してしまったためだ。
きっと視力の低下は早いだろうな、と今ではどうでも良いことを考える。
「伊織。私はどうしたらいいだろう…」
地下の研究機関から上がる煙が、遠くに見えた。
彼らの研究自体は、国家の発展にとって重要なものとなる。
連合軍は、世間へのパフォーマンスのために、派手に研究所を破壊した。
だが、研究員たちは、どこかで丁重にもてなされていることだろう。
有能な技術者集団なのだ。
「私はどうしたら…」
『伊織』を抱きしめて立ち尽くす博士。
そんな彼に、連合軍のトップらしき屈強な男が近づいてきた。
「館林さん。その完成体、我々に預けていただけませんか」
②へ
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