近未来パロ*科学者館林xアンドロイド千家②
①に引き続きエロなし。
やっと開さんがでてきました。
_________
腰まで伸びた、黒く美しい絹髪。
白磁の肌。
人形のように整った可愛らしい顔。
伊織は今日で十四歳の誕生日を迎える。
(と言っても、人間の年度初めを誕生日と定めているだけだが)
生まれてからずっと、膨大な情報をどんどん脳に吸収してきた。
五感全てで取り入れた情報。
自ら作り出したウイルスを空気感染させて人間のデータベースに繋いで得た情報。
人間でいうところの第六感とでもいうところか。
とにかく、身体全てを使って情報をインプットしてきた。
「学校に行ってもらう」
白衣の男・カンガミがそう告げた。
伊織に拒否権はなく、ただ諾と頷くだけだ。
伊織には人工脳と人工知能が完全に融合した瞬間からの記憶が残っている。
自分を見つめる館林博士、破壊された研究所、あらゆる情報を自分にインプットして”教育”してきたカンガミたち。人間の感情を学習させるために、情操教育とやらも行われてきた。それだけではなく、伊織が自ら人間のネットワークに入り込んであらゆる場所を”散歩”してきた。
人間の感情というものはまだ完全にインプットされていない。
ただ、人間の行動が理解できかねるのは事実だった。
今まで見てきたどの人間も、大なり小なりあるが、非合理的だ。
特に理解できないのは、色濃く記憶に残る『館林博士』。
博士が自分を見る様子は、生まれてこの方、彼だけが有したものだった。
いわゆる”父性”というものではないかという検討は付いた。
だが、いくらデータを漁ってみても、理解ができない。
どんな計算も数式も、原理を理解すれば解けるのに、人間の行動原理は理解することができない。
その答えに近づくには、館林博士を分析する必要がある。
伊織はそう考えていた。
そんな折り、学校に行けという指令が出た。
しかもそこには、館林博士の子供がいるらしい。
子供というのは、館林博士という雄とその妻である雌が交尾をしてできた、二人の遺伝子を受け継いだ個体だ。つまり、館林博士と似た性質を持っている。その子供を分析することは、伊織が行き詰まっている問題を解決するための糸口になるかもしれない。
伊織にとって願ったりな指令だった。
カンガミたちにとしては、学校に存在する人間たちを観察して、少しでも人間の行動原理を理解して来いということだ。
彼らは伊織に、人間の有用性を理解させようとしていた。
***
「えー、今日から転校してきた、千家伊織くんだ。席は、あそこ、館林の隣に座ってくれ」
メガネをかけた細身の男が教壇に立ち、伊織のことをクラスメイトに紹介し、席を指し示した。伊織はカンガミに教えられたとおり頭を下げ、その席へと向かった。
この学校は古典的な学習形態を残している、数少ない教育機関だった。
数十人の子供が一つの部屋に集められ、机を並べて黒板に向いて座る。
黒板にはチョークという、これまた古典的な道具で、教師が字を書いていく。
ただし、黒板は空間パネル、チョークは電子機器。
黒板風、チョーク風、といった具合だ。
学校の空間パネルは常にネットワークと繋がっており、教師の知識と共同して生徒に情報と、その利用方法を伝える。
生徒たちは情報を”ノート”にインプットさせていく。
この”ノート”は、紙媒体のような物理的なものではない。
空間パネルのようなものが、それぞれの個体が発する特別な空間物質を経て、生徒の脳に直接つながっており、記憶されていく。過去でいう”記憶”だが、現代は”ノート”を通じて大脳の全てを有効に活用できるようになり、インプットした記憶を完全に出し入れできるようになった。
「よろしく、伊織くん」
席に腰を下ろしたとたん、隣の館林開が挨拶をしてきた。
伊織は、開の顔をまじまじと見た。
記憶にある館林博士の顔データと7割ほど一致する。
開には、博士の面影があった。
「…よろしく、館林開くん」
伊織は、カンガミに叩き込まれた”愛想笑い”を返した。
”目を細めて、口角をあげて、相手の目を見つめること”
「……君、昔僕と会ったことがある?」
開が首をかしげた。
自らの記憶を探れる昨今、会ったことがあればすぐにわかるはずだ。
思い出せない、ということは有り得ない。
伊織はデータベースで見たことのある『古典的なナンパ』という単語を思い出していた。
「会っていないよ」
そして、もう一度愛想笑い。
やっと開さんがでてきました。
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腰まで伸びた、黒く美しい絹髪。
白磁の肌。
人形のように整った可愛らしい顔。
伊織は今日で十四歳の誕生日を迎える。
(と言っても、人間の年度初めを誕生日と定めているだけだが)
生まれてからずっと、膨大な情報をどんどん脳に吸収してきた。
五感全てで取り入れた情報。
自ら作り出したウイルスを空気感染させて人間のデータベースに繋いで得た情報。
人間でいうところの第六感とでもいうところか。
とにかく、身体全てを使って情報をインプットしてきた。
「学校に行ってもらう」
白衣の男・カンガミがそう告げた。
伊織に拒否権はなく、ただ諾と頷くだけだ。
伊織には人工脳と人工知能が完全に融合した瞬間からの記憶が残っている。
自分を見つめる館林博士、破壊された研究所、あらゆる情報を自分にインプットして”教育”してきたカンガミたち。人間の感情を学習させるために、情操教育とやらも行われてきた。それだけではなく、伊織が自ら人間のネットワークに入り込んであらゆる場所を”散歩”してきた。
人間の感情というものはまだ完全にインプットされていない。
ただ、人間の行動が理解できかねるのは事実だった。
今まで見てきたどの人間も、大なり小なりあるが、非合理的だ。
特に理解できないのは、色濃く記憶に残る『館林博士』。
博士が自分を見る様子は、生まれてこの方、彼だけが有したものだった。
いわゆる”父性”というものではないかという検討は付いた。
だが、いくらデータを漁ってみても、理解ができない。
どんな計算も数式も、原理を理解すれば解けるのに、人間の行動原理は理解することができない。
その答えに近づくには、館林博士を分析する必要がある。
伊織はそう考えていた。
そんな折り、学校に行けという指令が出た。
しかもそこには、館林博士の子供がいるらしい。
子供というのは、館林博士という雄とその妻である雌が交尾をしてできた、二人の遺伝子を受け継いだ個体だ。つまり、館林博士と似た性質を持っている。その子供を分析することは、伊織が行き詰まっている問題を解決するための糸口になるかもしれない。
伊織にとって願ったりな指令だった。
カンガミたちにとしては、学校に存在する人間たちを観察して、少しでも人間の行動原理を理解して来いということだ。
彼らは伊織に、人間の有用性を理解させようとしていた。
***
「えー、今日から転校してきた、千家伊織くんだ。席は、あそこ、館林の隣に座ってくれ」
メガネをかけた細身の男が教壇に立ち、伊織のことをクラスメイトに紹介し、席を指し示した。伊織はカンガミに教えられたとおり頭を下げ、その席へと向かった。
この学校は古典的な学習形態を残している、数少ない教育機関だった。
数十人の子供が一つの部屋に集められ、机を並べて黒板に向いて座る。
黒板にはチョークという、これまた古典的な道具で、教師が字を書いていく。
ただし、黒板は空間パネル、チョークは電子機器。
黒板風、チョーク風、といった具合だ。
学校の空間パネルは常にネットワークと繋がっており、教師の知識と共同して生徒に情報と、その利用方法を伝える。
生徒たちは情報を”ノート”にインプットさせていく。
この”ノート”は、紙媒体のような物理的なものではない。
空間パネルのようなものが、それぞれの個体が発する特別な空間物質を経て、生徒の脳に直接つながっており、記憶されていく。過去でいう”記憶”だが、現代は”ノート”を通じて大脳の全てを有効に活用できるようになり、インプットした記憶を完全に出し入れできるようになった。
「よろしく、伊織くん」
席に腰を下ろしたとたん、隣の館林開が挨拶をしてきた。
伊織は、開の顔をまじまじと見た。
記憶にある館林博士の顔データと7割ほど一致する。
開には、博士の面影があった。
「…よろしく、館林開くん」
伊織は、カンガミに叩き込まれた”愛想笑い”を返した。
”目を細めて、口角をあげて、相手の目を見つめること”
「……君、昔僕と会ったことがある?」
開が首をかしげた。
自らの記憶を探れる昨今、会ったことがあればすぐにわかるはずだ。
思い出せない、ということは有り得ない。
伊織はデータベースで見たことのある『古典的なナンパ』という単語を思い出していた。
「会っていないよ」
そして、もう一度愛想笑い。
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